家づくりには10ヶ月以上かかる。でも、その時間こそ、家族の未来を形にする準備期間だった。#column

この記事を読めば分かること

  • 注文住宅ができるまでの具体的なスケジュールと流れ
  • 家づくりに時間がかかる理由と、避けられない工程の中身
  • スムーズに進めるために「今からできること」

はじめに:夢のマイホームは、今日の「ひとつの決断」から始まる

「こんな家に住めたらいいな」
それは、何気なく見たドラマのリビングや、友達の新築祝いでもらった家の香りかもしれません。

でも、そこから実際に家が建つまでには、たくさんの時間と選択が必要です。

あなたが描いたその家を、現実にするために。
この記事では、家づくりにかかる期間とその中身を、物語のようにやさしく丁寧に解説していきます。

第1章:ふらりと寄った展示場で、人生が動き出した(1ヶ月)

日曜の午後。少し肌寒い風に吹かれながら、あなたは家族と一緒に住宅展示場へ向かいます。
目的なんて、最初は特にありません。「ちょっと見てみようか」くらいの気持ち。

けれど、あるモデルハウスの扉を開けた瞬間、空気が変わりました。
高い天井、柔らかな木の香り、陽の光が差し込むリビング。
その場で、あなたは思ったはずです──「いつか、こんな家に住みたい」

この「理想を思い描く時間」が、家づくりの最初のステップです。

この時期にすること

  • 情報収集(SNSや展示場、雑誌など)
  • 「どんな暮らしがしたいか」家族で話し合う
  • 大まかな予算の方向性を考える

第2章:土地と会社を決めるのは、恋人選びと同じ(2〜3ヶ月)

家を建てるには、まず「場所」と「つくり手」を決めなければいけません。

たとえば「小学校まで徒歩10分がいい」とか、「駅に近くて通勤が楽な場所がいい」など、条件を洗い出して土地を探します。
並行して、どんな会社にお願いするかも考えましょう。あなたの家のパートナーになる存在です。

こんな日々が続きます

  • 週末ごとに土地を見に行き、不動産会社とやりとり
  • 3〜4社の住宅会社に資料請求して比較
  • 時には夫婦で意見が分かれ、小さな衝突も…

でも大丈夫。それは、「真剣に未来を考えている証拠」です。

第3章:間取りを考える夜、寝るのが惜しくなる(1〜2ヶ月)

「キッチンは対面にしたい」
「子ども部屋は2つ必要かな?」
「リビング階段ってどうなんだろう?」

この時期は、まさに“自分たちの家をつくる”ための設計フェーズです。
打ち合わせは毎回、白熱します。
壁紙のサンプルを手に取りながら、あなたは「これが現実になっていくのか…」と胸を高鳴らせます。

この時期にやること

  • 間取りや外観デザインの決定
  • キッチン、床材などの仕様選び
  • 住宅ローンの本申請手続き

想像と現実のギャップに悩むこともありますが、そのひとつひとつの選択が、家の「らしさ」になります。

white and brown kitchen cabinet

第4章:工事が始まると、家は静かに、確かに育っていく(4〜6ヶ月)

ある朝、通学途中の子どもと一緒に土地を見に行くと、昨日まで何もなかった場所に、基礎の枠が組まれていました。
少しずつ、でも確実に、あなたの「夢」が形になっていきます。

上棟の日は、まるでお祭りのよう。大工さんたちが屋根を一気に組み上げ、夕方には骨組みだけの家が立ち上がっています。

工事の主な流れ

  • 基礎工事(約1ヶ月)
  • 上棟・構造工事(1〜2週間)
  • 内装・外装の仕上げ(2〜3ヶ月)
  • 完成検査と手直し期間(1〜2週間)

現場に行くたびに、家の表情が変わっていきます。
大工さんや現場監督とあいさつを交わしながら、あなたの中にも「住む実感」がじわじわと湧いてくる時期です。

第5章:鍵を受け取る日、家が「あなたの居場所」になる(1ヶ月)

完成検査が終わり、家の中の小さな不具合がすべて直されたら、いよいよ引き渡しです。
新しい鍵を手にし、扉を開けた瞬間、目の前に広がるのは「あなたのためにつくられた空間」。

無垢材の床を踏む足音、真新しい匂い、まだ何もないリビングの静けさ。
それは、これから家族の声が響いていく前の、最初の一瞬です。

引き渡し前後にやること

  • 最終確認(建具・設備のチェック)
  • 家具・家電の搬入
  • 引越し準備と各種手続き(住所変更・電気ガスなど)

まとめ:家づくりは時間がかかる。でも、それが「家族のかたち」を育てる時間。

注文住宅は、完成までにおよそ10ヶ月〜1年ほどかかります。
その間にやること、決めることは山ほどありますが、すべては「あなたらしい暮らし」のために必要なプロセスです。何よりも大切なのは、「今、行動を始めること」。
未来の自分が、「あの時、ちゃんと考えてよかった」と思えるように。