未来の安心は“いまの選択”から。水害に強い家を叶える、建築前の5つの視点 #column
災害大国といわれる日本。とりわけ、水害にまつわるニュースが年々増えていることに、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
「床上浸水」「断水」「電気設備の故障」──それは、テレビの向こう側だけの出来事ではありません。
家を建てる前の今だからこそ、できる備えがあります
この記事では、水害に強い家をつくるための“土地選び”“間取り設計”“設備の工夫”など、長く安全に暮らすために知っておきたいポイントを、わかりやすく整理してお伝えします。
家族の未来の安心を、いまの行動で支えていきましょう。
【この記事を読めばわかること】
- 水害が家に与える主な被害の種類とリスク
- ハザードマップを活用した土地の安全性チェック
- 浸水リスクを軽減する設計・間取りの工夫
- 水害に備えるための設備と防災アイテム
- 被害を減らす“減災”という考え方
1. 知っておきたい「水害」と住宅への影響
水害とは、大雨や台風により河川が氾濫したり、排水が追いつかずに住宅地が水に浸かる自然災害のことです。
具体的な住宅への影響には、以下のようなものがあります:
- 床下・床上浸水による建材や断熱材の劣化
- 家電・配電盤の故障による生活インフラの停止
- トイレや排水口の逆流による衛生被害
- 地盤の緩みによる家の傾きや沈下
一度でも浸水被害を受けた家は、修繕費や精神的な負担が想像以上に大きくなります。
だからこそ、「建てる前」の備えが不可欠なのです。

2. 土地選びは、“安全への第一歩”
■ハザードマップでエリアの特性を把握する
自治体が提供しているハザードマップは、地域ごとの水害リスクを示してくれる心強いツールです。
確認すべきポイント:
- 想定される最大降雨量で浸水する可能性があるエリアか
- 洪水、内水氾濫、土砂災害など、どのリスクが高いか
色分けされたエリアを見るだけでも、大まかな安全性を判断できます。
■地形や地名に残る“地歴”もヒントに
昔、田んぼだったエリアや低地は水が溜まりやすい傾向にあります。
「川」「沼」「谷」などの文字を含む地名は、かつての地形の記憶を反映している可能性があるため、念のため注意が必要です。
また、「盛土」で造成された土地では、地盤沈下や液状化の可能性もあるため、地盤調査の有無を確認しましょう。
3. 設計でできる“減災”の工夫
被害をゼロにすることは難しくても、ダメージを最小限に抑える「減災」という考え方は非常に重要です。
■浸水しにくい高さを確保する
- 床下の空間を広くとった「高基礎」設計(1.2m以上が目安)
- スキップフロアなど、水が入りにくい構造を採用する
湿気対策や通気性の向上にもつながり、一石二鳥の効果が期待できます。
■重要な機能は上階にまとめておく
- 配電盤・給湯器・ネット機器など、生活インフラの中枢は2階に配置
- 書斎や在宅ワーク用の部屋を2階に確保すれば、非常時も仕事や学習を継続できます
■避難生活を見越したレイアウトに
- 2階にもトイレや洗面台を設置すれば、1階が使えない場合も生活の継続が可能
- 3階建て住宅であれば、屋上を避難スペースとして設計するのも選択肢です
4. “設備”と“備え”で、安心を暮らしのなかに
水害への備えは、防災グッズだけではありません。
設備そのものの工夫が、万が一のときに大きな差となります。
■逆流・浸水を防ぐための装備
- 排水口やトイレには「逆流防止弁」を設置
- 雨水の侵入を防ぐ「止水板付きドア」や「防水シャッター」
■排水しやすい外構設計
- 敷地に傾斜をつけて、自然と道路側へ排水できるようにする
- 雨水タンクの設置で、一時的に水を溜めて排水負担を減らす
■日常に溶け込む非常用アイテムの備蓄
- 懐中電灯、モバイルバッテリー、簡易トイレ、保存水、非常食など
- すぐ使える位置に、普段の生活用品のように常備しておく
情報収集手段として、防災アプリや天気予報サイトを定期的にチェックする習慣も有効です。
5. まとめ──“災害に強い家”は、安心を設計すること
水害に対する家づくりのポイントは、「事前の想像力」にあります。
- 土地の安全性を見極める
- 被害を減らす間取り・構造を考える
- 生活を支える設備やグッズを整える
完璧でなくても構いません。
でも、「起こりうる未来」をひとつでも多く想定しておくことで、暮らしの安心はぐっと高まります。あなたとあなたの大切な人が、これから長く暮らす家だからこそ。
安全という名の“土台”を、ていねいにつくっていきましょう。