転職と住宅購入、両立できる?住宅ローン審査を乗り越えるための現実的ガイド #column
「転職したばかりだけど、家も買いたい」——そんな場面、決して珍しくありません。
でも実際は、転職と住宅ローンのタイミングが重なることで、審査で不利になるケースも。ローンの審査基準には“勤続年数”や“収入の安定性”が深く関わってくるからです。
本記事では、転職が住宅ローンに与える影響と、その対策を実務的な視点で整理。購入計画とキャリア選択を両立させるために、どんな準備ができるのかを具体的に解説します。
【この記事を読めばわかること】
- 住宅ローン審査における評価基準
- 転職が審査に与える影響とその理由
- 転職後でも通るケースと判断基準
- 審査を有利に進めるための現実的な対策
1. 住宅ローン審査で重視される4つの基準
住宅ローン審査では、以下のような「返済能力」と「信用力」が判断材料になります。
(1)勤続年数と雇用形態
- 基準目安:同一勤務先で3年以上が“安定”とされる目安
- 雇用形態:正社員が最も評価が高く、契約社員・派遣社員・フリーランスは審査がやや厳しくなる傾向
(2)年収と返済負担率
- 年収に対して毎月の返済が占める割合を審査
- 一般的な基準:年収400万円未満は30%以内、400万円以上は35%以内が目安
(3)職種・業種の安定性
- 公務員・医療職・上場企業勤務などは長期的な収入の見通しが立ちやすく、高評価
(4)信用情報
- クレジットやローンの支払履歴、遅延の有無などが反映される
- 携帯料金の延滞なども影響する場合あり
2. 転職が審査で不利になる理由
金融機関は「安定した返済能力」を重要視します。そのため、転職直後の申込者は、以下の理由でリスクと見なされやすくなります。
■ 勤続年数が短いと評価が低くなる
- 多くの銀行は勤続1年未満の申込に対し、審査基準を厳しく設定
- 試用期間中である場合、より慎重に見られる傾向あり
■ 同業種か異業種かで判断が変わる
- 同業種・同職種の転職であれば、スキルの継続性が評価される
- 異業種の場合、業績や収入の見通しが立てづらく不利になりやすい
■ 雇用形態の変更はリスクと見なされる
- 正社員→契約社員・フリーランスへの転身は、安定性低下と判断されやすい

3. 転職後でも審査に通るケースとは?
転職直後でも、以下のような条件を満たすことで審査通過の可能性は十分にあります。
◎ 対応可能な条件例
- 同業種・同職種への転職である
- 転職前に安定した職歴があり、年収も大幅に変わっていない
- 配偶者とのペアローンまたは収入合算で返済能力を補強できる
- 転職先での雇用条件(正社員、固定給)に明確な安定性がある
◎ フラット35の活用
- 勤続年数ではなく「直近1年間の年収」で審査するため、転職者にも比較的寛容
- 対象物件や金融機関によって取り扱いが異なるため、事前確認が重要
4. 審査通過のために準備すべき対策
(1)転職タイミングを調整できるなら後回しに
- ローン契約後、引き渡しが完了してから転職するのが理想
- 少なくとも審査期間中は現職を継続するのが無難
(2)ペアローン・収入合算を活用
- 夫婦や親子でのペアローンにすることで、世帯全体の収入が評価対象に
- ただし双方に信用情報の審査が必要
(3)自己資金(頭金)を増やす
- 借入額が減ると、審査上のリスクも軽減
- 比率目安:物件価格の2割以上を自己資金とするのが理想的
(4)フラット35などの選択肢を検討
- 勤続年数よりも“収入の安定実績”を重視する商品は、転職者に適している
- 金利や諸費用、団信(団体信用生命保険)の条件も含めて比較検討を
【まとめ】
転職と住宅購入、どちらも人生の大きな選択ですが、タイミングを誤ると住宅ローン審査で不利になることもあります。
とはいえ、同業種転職やペアローン、フラット35の活用などで十分カバー可能なケースも。
重要なのは、“事前にどう備えるか”。
転職時期や住宅購入のスケジュールを戦略的に設計することで、住宅ローンのハードルは越えやすくなります。
不確定な転職環境でも、正しい知識と準備で審査突破は可能です。