家族の未来を守る選択」―二世帯住宅は高い?いえ、賢く建てれば“安心”までついてくる#column

この記事を読めば分かること

  • 二世帯住宅のタイプ別にかかる費用とその背景
  • 土地を持っている場合と持っていない場合の大きな違い
  • 間取りによってなぜ数百万円の差が生まれるのか
  • 余計なコストをかけない工夫と現実的な設計ポイント
  • 家族構成と未来の変化に応じた設計アイデア

はじめに

「お父さん、最近ちょっと足元おぼつかなくなってきたね」

リビングでくつろいでいたとき、ふと妻がぽつりとつぶやいた。

その一言が、すべての始まりだった。
2階の寝室に昇る階段の角度。
深夜に一人で入るお風呂の温度。
冬場の寒暖差――。

家というのは、日々の暮らしの“舞台”である以上に、「家族の安全」と「人生の安心」を支える“シェルター”なんだと、改めて気づかされた瞬間だった。

そんな我が家が選んだのは「二世帯住宅」。
そして気づいたのは、「ただ建てる」だけでは、理想は手に入らないということだった。

architectural photography of concrete building

土地の有無で、スタート地点の「重さ」が違う

● 土地があるあなたへ:すでに1,500万円分、得しているかも?

もしあなたが親の土地を引き継げるなら、スタートからかなり有利です。たとえば建築費が3,000万円だとしても、土地代がかからなければ、それだけで数百万円のローン負担が減ります。

しかも、親の思い出が詰まった土地。
幼い頃に夏休みを過ごした庭や、登校前に立っていた電柱の影――。
そんな風景とともに、新しい暮らしをスタートできます。

● 土地がないあなたへ:慎重な土地選びが、家づくりの未来を決める

一方で、土地を一から探す場合には、“目に見えないコスト”にも注意が必要です。たとえば、駅近を選べば便利ですが、土地価格は跳ね上がる。郊外は広さを確保できても、通勤通学の利便性を犠牲にするかもしれない。

土地価格の例:

  • 30坪の土地で1,800万円(地方都市)
  • 50坪で3,000万円以上(都市近郊)

あなたがどこに暮らし、誰と、どんな毎日を送りたいのか――。
それが土地選びの“答え”です。

「家の中の距離感」で費用も暮らしも激変する

二世帯住宅は、間取りの違いで費用も体験もガラリと変わります。ここでは3つのタイプに分けて、リアルな費用感とライフスタイルをご紹介します。

◆ 完全共有型:家族の“ふれあい”を最優先にしたいあなたへ

玄関もキッチンもお風呂も全部一緒。

「子どもたちが毎晩おじいちゃんに絵本を読んでもらうのが日課です」
そんなご家庭にはぴったりです。

費用相場:2,500万〜3,300万円
メリット:建築面積がコンパクトでコストが抑えられる
デメリット:プライベートの確保が難しい

◆ 一部共有型:“ちょうどいい距離感”を大切にしたいあなたへ

玄関やお風呂は一緒。でも、LDKや寝室はそれぞれ。

「休日は一緒に料理、平日はそれぞれのリズムで過ごす」
そんな家族には最適です。

費用相場:3,200万〜4,200万円
メリット:干渉しすぎず、孤立しない安心感
デメリット:共有部分の管理ルールが必要

◆ 完全分離型:将来の活用まで視野に入れたいあなたへ

2つの世帯が完全に独立。いわば、縦に並んだ“2つの家”。

「いずれ片方を賃貸に出してもいい」
という資産運用視点を持つあなたにふさわしい形です。

費用相場:3,800万〜5,500万円
メリット:プライバシー完全確保+将来的な自由度
デメリット:敷地が広く必要&建築費が高くなる

コストを抑える“賢い工夫”はこうする

◎ 設備の配置は“重ねる”のが正解!

上下階でキッチン・お風呂・トイレの位置を同じにすることで、配管や換気の工事費を大幅にカットできます。

◎ 形は“シンプル・イズ・ベスト”

複雑な外観は見栄えはいいですが、施工費が跳ね上がります。
四角い家が一番合理的で経済的。デザインは内装で遊べばOK。

◎ “念のため”の部屋はつくらない

使わない和室、空っぽの納戸、将来使うかもしれないスペース…それ、今本当に必要ですか?
「もったいない部屋」は、建築費だけでなく将来の掃除や管理の負担にも。

まとめ:家づくりとは、「家族の会話」から始まるプロジェクト

二世帯住宅は単なる「家」ではありません。
それは、世代を越えてつながる家族の物語であり、未来の安心をかたちにするプロジェクトです。

費用はたしかに大きい。
でも、そこには「親の笑顔」「子の成長」「あなたの安心」が詰まっています。

どんな間取りにするか。
土地はどうするか。
どこまで一緒に住むか。

そのすべては、“今のあなた”と“これからの家族”をつなぐ、大切な選択です。